16.意見書」カテゴリーアーカイブ

介護保険の訪問介護事業所の厳しい運営状況への支援に関する意見書

介護保険の訪問介護事業所の厳しい運営状況への支援に関する意見書

本年4月から訪問介護報酬の引き下げが実施された後、市議会では小金井市内の介護事業者と懇談し状況を確認した。

現在、国や東京都は、ヘルパー給与である人件費に対して処遇改善加算や居住支援手当といった補助を出しているが、給与が上がることで労働保険料や社会保険料も大きくなっている。

その一方で、訪問介護報酬は減額され、市内の各事業所の利益は抑えられた状態であり、高齢者が増えているにもかかわらず売上げは8割の事業所で減額となっており、どの事業所も運営実感が厳しい状況である。

厚生労働省は訪問介護事業の運営効率が良いという理由で報酬を減額したとのことだが、この背景には統計調査のあった2021年から2022年頃に新型コロナウイルス感染拡大の際の対策補助金が大きく運営に貢献した結果であり、基本報酬が大きかったためではない。また、元々訪問介護事業は処遇改善加算の比率が22.4%と他のサービスより大きく、以前より報酬を主軸にした制度設計を願う声があった。

小金井市介護事業者連絡会が、市内の事業所の現況調査をしたところ、全国的な大手とされる事業所や介護保険による特別養護老人ホームなど大規模施設併設をする事業所でも販売管理費(人件費・家賃・通信費など。総収入から減ずると純利益が算出できる)が96%までになる月もあり、そのうち70%から90%が人件費となっている。

企業としての利益はごくわずかであり、単独運営する小規模事業所においては赤字の月が頻繁にある。複数の事業を行う事で訪問介護を維持している法人であっても、これ以上厳しくなれば不採算部門として訪問介護事業の閉鎖をしかねない状況である。また、市町村が実施者となっている利益率の悪い総合事業(要介護度が要支援1・2向けサービス)を引き受けていない事業所が既にあるが、今後更に増える懸念がある。小規模事業所の閉鎖、撤退も現実的な問題として迫っている。

近年の訪問診療への報酬確立や訪問看護ステーションの普及によって、20年前は夢であった多くの市民の「亡くなるときは住み慣れた我が家で」という願いは現在、在宅のターミナルケアとしてかなりの割合で実現している。ただ、それを実行できるのは訪問医療の間を埋めているヘルパーの訪問があるからである。

このままの状態が続けば市民は人生最期の願いを手放すことになる。また、採算性の低い総合事業では、早くから利用している高齢者の要介護度の悪化のスピードを抑えているという報告もあるが、安きに流れて健康寿命をみすみす縮めるような環境になっている。

よって小金井市議会は、政府に対し、地域の介護事業者の声を反映した以下の事項を求めるものである。

1、介護事業所の家賃補助などの管理費への支援を行うこと。

2、総合事業への経済的評価の向上を行うこと。

3、訪問介護報酬の早期見直しを行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

小金井市議会議長 宮 下 誠

令和6年月 日

内閣総理大臣 様

財務大臣様

厚生労働大臣 様

ミャンマー軍が実施した徴兵制に対し、在留ミャンマー人、ならびに日本への避難を希望する若者たちの安全を確保することを求める意見書

賛成 13:子どもの権利4(片山)、みらい3、共産3、ネット1、緑1、こがおも1

反対 8:自民4、公明2、参政党1、街の仲間1
退席1:みらい1
※議長(公明)は採決にかかわらず。

ミャンマー軍が実施した徴兵制に対し、在留ミャンマー人、ならびに日本への避難を希望する若者たちの安全を確保することを求める意見書

ミャンマーの国営メディアは2024年2月10日、18歳から35歳までの男性及び18歳から27歳までの女性を対象に徴兵制を実施し、ミャンマー暦の正月にあたる4月20日より毎月5千人を招集すると伝えた(同月20日、女性はいったん除外すると発表)

ミャンマー軍は2023年10月27日以降、民主派や少数民族武装勢力の攻勢によって、180以上の軍の前哨基地や、中国との貿易拠点となる複数の町を失い、投降者も相次いでおり、その戦力が大幅に減少している。劣勢を強いられる軍が、深刻化する兵員の不足を補う狙いがあるとされているが、民主派のNUG(国民統一政府)が2月13日に出した声明で「国民を戦争の最前線に送り、【人間の盾】に利用しようとしている」という指摘にみられるように、多くの若者が犠牲となるばかりか、民主主義を希求する国民同士に殺し合いをさせる、卑劣な制度の実施であることは疑う余地もない。

徴兵を拒否すれば禁錮刑の罰則もあり、若者たちは絶望していると伝えられる。中立も許さず、まさに踏み絵を迫るような制度である。

ミャンマーは経済的に、我が国と深い関係のある国である。近年でも多くの若者を技能実習生や留学生として受け入れており、彼らの勤勉な就労は日本の経済を下支えしている。

ミャンマーの若者たちは我が国の宝である。

よって、小金井市議会は、政府に対し、以下の事項を強く求めるものである。

1  「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」を今後も継続すること。

2 ミャンマー本国は、多くの若者が国外避難を始めており、その数は増加が予想される。日本政府は、ウクライナ避難民と同様に、ミャンマー避難民についても積極的に受け入れること。

3 日本政府として外交的影響力を最大に行使し、国際社会と連携して、ミャンマー軍が実施した徴兵制度を中止するよう、ミャンマー軍に働きかけること。

4 ミャンマーの若者の将来を援助する奨学金プログラムを実施すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年 月  日

小金井市議会議長 宮 下   誠

 内閣総理大臣 様

 内閣官房⻑官 様

 法務大臣 様

 外務大臣 様

 文部科学大臣 様

 厚生労働大臣 様

独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)の現機能の存続を求める意見書

独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)の現機能の存続を求める意見書

埼玉県嵐山町に所在する独立行政法人国立女性教育会館(以下「国立女性教育会館」という。)は、女性教育の振興、男女共同参画社会の形成の促進に資することを目的として、1977年に設置された唯一の女性教育に関するナショナルセンターである。国の施設として設置され、2001年に独立行政法人に移行している。2017年には、インフラ長寿命化計画が策定され、これまで6年間で総額約15億円を投じ、計画的に維持・管理が行われている。

もともと、国立女性教育会館は、婦人団体関係者、研究者、行政関係者からなる基本構想委員会によって企画構想された。忙しい日常を送っている女性たちが、自分のことを考え、自分を取り戻して必要な学習をし、将来を考える場所として選ばれ、研修・交流・調査研究・情報という4つの機能を持つ施設として設計され、自然環境に恵まれ、都心から1時間程度の現在地が選ばれた。国連婦人年1975年から間もなくの誕生で広大な敷地に建った国の象徴的な施設である。嵐山町に国立女性教育会館を位置付ける意味、その使命は今も変わらない。

2023年4月、内閣府の「独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループ」の報告書が取りまとめられた。国立教育女性会館は、男女共同参画基本計画の施策全般を推進する「ナショナルセンター」としてその役割を拡充するとともに、全国355の男女共同参画センターの「センターオブセンターズ」として位置付けること、また、人材育成機能強化・職員の専門性向上や関係機関等とのネットワーク構築・強化、男女共同参画に関する政策のEBPM機能の強化など、様々な機能の強化について示されている。「現在の研修棟や宿泊棟といった施設の在り方についても、今後検討していくことが必要である。」とされているが、移転の必要性については示されていない。

しかしながら、2023年11月、関係府省から嵐山町に対して、「現行施設を譲渡又は撤去し、主たる事務所を移転することとしたい」旨の意向が示された。嵐山町にも埼玉県にも丁寧な説明が行われない中、埼玉県議会の中からも容認できないとの声が上がっている。

国立女性教育会館の累計の利用は497万人。女性だけでなく、男性、子ども、障害のある人、誰でも利用でき、会議室は講堂を含め20室以上、360人が泊まれるバリアフリーの施設である。このコロナ禍で対面での交流の必要性は誰もが感じたことである。女性たちや様々な支援活動に関わる人々が、安価に宿泊でき、学習に集中できる施設は貴重である。

また、国立女性教育会館は、この間、資料収集に力を入れ、約15万冊の図書、約4,200タイトルの雑誌、新聞の切り抜き57万件以上を所蔵している。明治期以降からの資料の保存活用は、現在地だからこそできるものである。女性資料の散逸が課題となってきている今こそ、現物保存の場があることは重要である。また、国立女性教育会館が提供している各種データベースや女性デジタルアーカイブシステムの継続公開も重要で、ライブラリとアーカイブの一体保存活用の継続が必要である。サイトから公開されているすべてのデジタル情報の保全提供サイトを確保する必要がある。

 よって、小金井市議会は、国会及び政府に対し、男女共同参画社会を推進するため、国立女性教育会館を現在地において存続させ、専門性のある人を育成し、研修・交流・調査研究・情報の4つの機能をさらに強化することを強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年 月  日

小金井市議会議長 宮 下   誠

 衆議院議長 様

 参議院議長 様

 内閣総理大臣 様

 文部科学大臣 様

 内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 様

むつ核燃料貯蔵施設・柏崎刈羽原発の稼働中止を求める意見書

むつ核燃料貯蔵施設・柏崎刈羽原発の稼働中止を求める意見書

青森県むつ市に建設中の使用済み核燃料の中間貯蔵施設(リサイクル燃料貯蔵センター:以下むつ貯蔵施設)の操業が目論まれている。新潟県の柏崎刈羽原発からの使用済み核燃料が運び込まれる予定である。運び込まれた使用済核燃料は50年以内に再処理工場に搬出することになっているが、六カ所の再処理工場の操業の目途は立っておらず、むつ貯蔵施設が核のごみ捨て場となるのは必至である。

柏崎刈羽原発では、東京電力が燃料装填を完了し、再稼働に向けた検査を開始した。地元同意もとらず、住民や自治体からの懸念にもこたえないうちの暴挙である。能登半島地震では、万が一の原発事故の際、避難も屋内退避もできない状況が生じうることが明らかになり、現在の避難計画では住民を守ることができないことが浮き彫りとなっている。また、柏崎刈羽原発は、使用済燃料プールが満杯に近く、むつ貯蔵施設に搬出しなければ稼働が続けられない状態である。

さらに、能登半島地震では、隆起地形の沖に横たわる海底活断層の過小評価が問われた。各地の原発周辺においても、変動地形学から読み取れる海底活断層を、音波探査偏重により短く評価することが横行してきた。柏崎刈羽原発とむつ貯蔵施設はいずれも隆起地形上にあるが、海底活断層が短く評価、あるいは全く存在しないことになっている。原子力規制委員会は、両者の稼働を止めて再審査を行うべきである。

原発避難計画が住民を守れない状況であること、危険な核のごみの行先が明らかでないことなどを踏まえれば、これ以上、矛盾と危険に満ちた無責任な原子力推進政策を進めるべきではない。

よって、小金井市議会は、政府に対し、柏崎刈羽原発の再稼働、むつ市の中間貯蔵施設の稼働の中止と、核燃料サイクル計画及び使用済み核燃料の全量再処理路線の見直しを求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年 月  日

小金井市議会議長 宮 下   誠

 内閣総理大臣 様

 内閣官房長官 様

 経済産業大臣 様

 環境大臣 様

地方分権に反し国に自治体への補充的指示権を付与する地方自治法改正法の廃止を求める意見書

地方分権に反し国に自治体への補充的指示権を付与する地方自治法改正法の廃止を求める意見書

日本が低成長に入り始めた1993年、衆参両院は地方分権の推進に関する決議をし、高度経済成長を牽引してきた中央集権体制から国の地方への関与を縮減し、地域住民の自己決定権の拡充を目指す地方分権改革が、1995年施行の地方分権推進法により進められ、2000年施行の地方分権一括法により、結実した。その後も紆余曲折はありつつも、第二次、第三次と地方分権改革が進められ、この30年余り、国と地方の対等な関係が構築されてきた。

ところが、政府は「国の補充的指示」など3点にわたる地方自治法の改正案を提案し、可決・成立した。改正法は、「国の補充的指示」という国の権限強化を進め、地方に従属を求めるものである。この「国の補充的指示」の要件を、個別法に規定されない「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」について極めて曖昧な規定としており、具体的な立法事実も明らかとなっていない。この事態に安全保障が含まれるとすれば、国民の自由や財産を縛ることにもつながる。自治事務への国の指示権も含まれるおそれが指摘されており、国の政策に反する特定の自治体を念頭に置くものなら、地方分権一括法における国・地方の対等ルールに逆行するどころか、憲法第92条に定める地方自治の本旨に反するものである。全国知事会をはじめ、多くの首長地方自治関係者は、国と地方との適切な情報共有・コミュニケーションを図ること、国の補充的な指示は、地方自治の本旨に則り、目的達成のために必要最小限度の範囲とすること、国と地方公共団体の関係の特例として位置づけ、一般ルールとの区別を求めている。地方分権の後退につながる危険性があり、多くの国民、地方自治体関係者との多くの議論がまだまだ欠如したまま、強行することは断じて許されない。

よって、小金井市議会は国会及び政府に対し、「国の補充的指示」を含む地方自治法の改正法の廃止を強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年 月  日

小金井市議会議長 宮 下   誠

 衆議院議長 様

 参議院議長 様

 内閣総理大臣 様

 総務大臣 様

 内閣府特命担当大臣(地方創生担当) 様