原発推進の「今後の原子力政策の方向性と実現に向けた行動指針」に抗議し撤回を求める意見書

12/26の本会議にて、第4回定例会に片山が作成して提案した「原発推進の「今後の原子力政策の方向性と実現に向けた行動指針」に抗議し撤回を求める意見書」が賛成多数で可決されました。

賛成13:子どもの権利(片山)4、みらい3、共産党3、こがおも1、ネット1、緑1

反対8:自民5、公明3

退席1:市民会議1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

原発推進の「今後の原子力政策の方向性と実現に向けた行動指針」に抗議し撤回を求める意見書

2022年12月8日、経済産業省資源エネルギー庁の原子力小委員会において、今後の原子力政策の方向性と実現に向けた行動指針が概ね了承された。原発立地地域の支援、原発運転期間原則40年ルールの緩和、次世代革新炉の開発を名目とした原子力産業への公的リソースの投入、プルサーマルの推進、官民あげての海外プロジェクトへの参画支援などが盛り込まれている。

指針には、立地地域との共生がうたわれているが、従来、原子力関連では多額の交付金がばらまかれ、地域経済を原発依存に傾け、地域の健全な発展を阻害してきた面がある。老朽原発の稼働やプルサーマルの受け入れなどに対して、交付金を拡充する案は地域振興の名のもとに、リスクの受け入れを地域に押し付けることにほかならない。

現在、原則40年、1回に限り20年の延長可能と規定されている原発の運転期間を、停止期間を除外し、60年を超える運転延長を可能にする方針は、福島第一原発事故の教訓として核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に盛り込まれた最低限の安全規制を揺るがすものである。停止していたとしても、原発の各施設・部品は劣化し、過去には配管破断の事故・トラブルも多く発生している。交換できない部品も多く、電力会社が点検できる範囲も限定的である。

新たな運転期間の制度は、経済産業省が所管する電気事業法に盛り込まれるとみられており、これにより、運転期間を認可するのは経済産業省となり、原子力を利用する立場の省庁が規制をするという構造に疑問の声が上がっている。

次世代革新炉の研究開発については必要性と実現可能性に疑問がある投機的な研究開発に、税金をはじめとした巨大な公的リソースを費やし、1兆円を超す国税が投じられながら、ほとんど動くことなく廃炉が決まった高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の失敗を繰り返すことになる。革新型軽水炉に関しても、従来の原発の延長線上でしかない。原発を新設すれば、解決不能な核のごみを長期にわたって出し続けることになる。

プルサーマルは本来ウラン燃料を燃やすはずの炉で異質な核特性をもつプルトニウムを燃やすもので、通常のウラン燃料よりはるかに危険になる。使用済みMOX燃料の熱量は高く、移動できるようになるまでに100年以上、原発敷地内のプールで冷却しなければならない。また現在日本国内で使用済みMOX燃料を処分できる施設はない。「もんじゅ」は廃止となり、六ヶ所再処理工場は26回も竣工が延期され、核燃料サイクルは実質破綻しているのにもかかわらず、その失敗を認めずにプルサーマルに固執し、リスクとコストを住民や国民、何よりも未来を生きる子どもたちに押し付けることは許されない。

経済産業省は、エネルギー供給における自己決定力の確保をうたい、エネルギー安全保障の観点から原発を推進しているが、核燃料を輸入に頼り、核施設は武力攻撃のターゲットにもなりえる。大規模集中型の電源である原発は、一たび事故やトラブルが生じればその影響は広範囲に及ぶ。気候変動対策としても、電力需給ひっ迫対策としても、原発は誤った選択肢である。

福島第一原発の事故は収束しておらず、事故の被害は継続している。私たちは今一度、福島第一原発事故の惨状を思い起こし、当時の議論を振り返り、真に持続可能なエネルギーの未来のために、市民が主体となり、社会的な議論を進める必要がある。

よって、小金井市議会は、政府に対し、この行動指針に強く抗議し、撤回を求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年 月  日

小金井市議会議長 鈴 木 成 夫

 内閣総理大臣 様

 経済産業大臣 様