米軍基地における新型コロナウイルス感染症のクラスター発生に対し徹底した対策と日米地位協定の改定を求める声明

Okinawa-koganei 沖縄の基地問題を考える小金井の会から、

「米軍基地における新型コロナウイルス感染症のクラスター発生に対し徹底した対策と日米地位協定の改定を求める声明」が出されました。

米軍基地でコロナ感染が相次ぐ中、不平等で不公正な日米地位協定の改定を求める声が高まっています。各地域から政府に要望を送りましょう。

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2022年1月12日内閣総理大臣 岸田文雄 様

防衛大臣 岸信夫 様

外務大臣 林芳正 様

 

沖縄の基地問題を考える小金井の会

(Okinawa-koganei)

主宰 米須 清真

連絡先:小金井市中町4-17-11 tel:042-316-1511片山かおる

 

米軍基地における新型コロナウイルス感染症のクラスター発生に対し徹底した対策と日米地位協定の改定を求める声明

 

2021年12月17日、在沖米海兵隊は米軍キャンプ・ハンセンにおいて新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生したことを発表した。その後、米軍基地が集中する沖縄県で新型コロナウイルスの感染が急拡大した。感染力の強い変異株「オミクロン株」が基地を経由して市中に広がった可能性が高い。沖縄県の玉城デニー知事は2022年1月2日に会見し、「感染者の急増は米軍の対策の不十分さを示すもので激しい怒りを覚える」と批判した。キャンプ・ハンセン等での感染者は大規模なクラスターとなったが、当初、ゲノム解析等については米軍基地内での実施ができず、米軍は検体の提供にも応じていなかった。米軍基地内の感染をめぐっては、昨年も必要な情報が県側に伝えられずに問題になったばかりである。

また、同基地に所属する米海兵隊員等が感染対策をせずに市街地に外出したことがメディアの報道で取り上げられ、飲酒運転での逮捕も相次いだ。感染症の拡大が抑制されていた中でのことなので、市民の不安は拡大する一方である。

その後、岩国基地(山口県岩国市)でもクラスターが発生し、空軍横田基地(東京都福生市など)や海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)などでも陽性者がまとまった数で出ており、感染が近隣地域に広がるのではないかと強く危惧されている。山口県の村岡嗣政知事は2022年1月6日に会見し、昨年9月から昨年末まで米軍が出国時の検査を免除していたことが感染拡大に「決定的に大きな影響を及ぼしているのでないか」との見方を示した。

政府は新型コロナウイルス感染症の新たな変異株「オミクロン株」の急拡大に伴う水際対策の強化措置により外国人の入国を禁止しているが、日米地位協定第9条では米軍関係者の出入国について「外国人の登録および管理に関する日本国の法令の適用から除外される」としている。ところが、米軍は本国から日本国内に移動する部隊について、昨年9月からワクチンを接種済みであれば出入国時のPCR検査を免除し、水際対策の抜け穴となってしまった。そのため、国の空港検疫等の水際対策の及ばない米軍基地内でのクラスターの発生から、基地内で働く従業員のコロナ感染へと経由し、全国の市民の感染拡大につながる一因になったと考えられる。

沖縄県議会はこれまで、再三に渡り、在日米軍に日本の国内法を適用させるために日米地位協定の改定を日本政府に求める内容を含む意見書を全会一致で可決してきた(2019年10月15日、2020年3月6日、2020年7月10日、2021年2月16日、2021年2月24日、2021年6月28日など)。また、全国知事会は2018年7月27日、日米地位協定の抜本的改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択している。しかし、政府は、日米地位協定は改定ではなく「運用の改善」で対応する立場であり、このことが感染症対策における後手後手の対応を招いた要因になった。

 

よって、市民の生命を守り、安心・安全な市民生活を守る立場から下記の事項を求める。

  1. 米軍基地内の感染拡大防止対策の徹底した確実な実施を求める。
  2. 感染者の発生した基地からの米軍人並びに軍属の外出を禁止する。
  3. 感染者の発生した基地からの米軍人並びに軍属の基地間移動を禁止する。
  4. 行政の責任において、米軍基地内日本人従業員へのPCR検査の実施を求める。
  5. 日米地位協定を抜本的に改定し、検疫法などの国内法を適用する。