永住資格取消制度の創設に反対する意見書
2024年3月15日、政府は、「永住者の在留資格をもつて在留する者」(以下「永住者」という。)について、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)に規定する義務を遵守しない場合や、故意に公租公課の支払いをしない場合、さらに、より軽い刑に処せられた場合でも在留資格の取消しを可能にする同法の改正案(以下「本法案」という。)を閣議決定し、本法案は5月14日の参議院本会議にて賛成多数で可決し成立した。
「故意に公租公課の支払いをしない」場合や、罪を犯せば処罰などの対象となることは日本人であろうと、永住者であろうと変わらないことは言うまでもない。しかし、それに加えて、生活基盤を全面的に喪失させることにもなり得る、永住資格の取消しという重大な不利益を課すことを可能にするのが本法案である。政府は、本法案の理由として、「永住許可の要件の明確化等」を挙げるが、長い間、社会に溶け込みその一員として生活し、厳しい永住資格の要件をクリアするなど、国籍以外は日本人と変わらない永住者に対し、このような制裁を加重する合理的な理由を説明できていない。
さらに、本法案は、入管法に規定する義務を遵守しない場合も対象とするが、このような義務には、在留カードの携帯義務(入管法第23条第2項)も含まれる。同義務違反への刑事罰としては20万円以下の罰金が定められている(入管法第75条の3)ところ、このような義務を外国人に対してだけ刑事罰をもって強制すること自体に問題性があるにもかかわらず、さらに、永住資格の取消しをも可能にすることは、目的達成のための手段として明らかに過剰である。
本法案は、永住資格の取消しに際し、入管当局が職権で他の在留資格へ変更することにより在留継続を可能とする途を認めてはいるが、当該外国人が「引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除く」(本法案第22条の6第1項)としており、在留継続を保障しているわけではない。結局は入管当局の広範な裁量次第であり、問題の核心は、本法案が外国人に対する前時代的な管理支配体制への回帰を指向するものである点にある。永住資格取消制度により、現在日本で暮らす約88万人(昨年6月時点)の永住者の法的地位が格段に不安定なものとなることは明白である。
最も安定的な在留資格であるはずの永住者の生活基盤の重要性をあまりにも軽視する本法案は、すなわち日本に根付き暮らそうという外国人の人権を軽視するものと評価せざるを得ないが、これは、近年、政府が進めてきた外国人労働者の受入れ施策及びこれに伴う共生社会の基盤整備施策とも矛盾するメッセージを、政府が自ら国内外に発信するものに他ならない。
よって、小金井市議会は、政府に対し、永住資格取消制度の創設に強く反対するとともに、改めて、真の意味での共生に向けた施策の立案、実施を求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年 月 日
小金井市議会議長 宮 下 誠
内閣総理大臣 様
法務大臣 様
