「小金井市奨学資金支給条例の一部を改正する条例」が可決されてしまいました

厚生文教委員会では民主党、みどり・市民(2人)、共産党(2人)が反対したので、否決されたのですが、本会議では、「会派の打ち合わせができていなかった」という理由で、厚生文教委員の民主党議員が退席、他の民主・社民は賛成したため、可否同数となりました。民主党議員の議長採決により、条例案は可決。本来の議長採決では、原則維持のため、条例改正もしない、否決するべきだった、とのこと。
高校無償化、といっても、低所得世帯への支援がどんどん薄くなっていくのを食い止めなければなりません。
以下、12/22の本会議でおこなった討論です。
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議案第67号「小金井市奨学資金支給条例の一部を改正する条例」について、みどり・市民ネットを代表して反対の立場から討論します。
今回の改訂は、高校授業料が無償となったことによって、現在、高校生と高等専門学校生1年〜3年に支給されている月額10,200円の奨学金を5,300円に減額するという条例案です。実施されたとしても、205万円の財政効果しかありません。
減額の根拠として、生活保護世帯の学用品費があげられています。しかし、高校無償化は授業料の無償であり、教材費や学用品、通学費、部活費など、学校生活に欠かせない費用はいまだ保護者や本人の負担となっています。審議資料では、公立高校にかかる授業料以外も含めた全体の教育費は約35万7千円となっています。
また、私立高校にかかる全体の教育費は、審議資料では平均78万3千円となっていますが、先日の新聞での報道によると、もっと値上がりしています。また、公立高校のように授業料全額が無償となるわけではありません。
経済的に厳しい家庭が増え、高校無償化により、公立高校への進学希望が増えています。定時制高校希望者もあふれている状態です。受験の結果、私立高校へ進学したとしても、経済的事情で中退せざるを得ない場合もあります。
国連子どもの権利委員会が今年の6月に日本に対しておこなった勧告の中では、「新しい子ども手当制度および高校無償化法を歓迎するものの、国および自治体の予算における子どものための予算配分額が明確でなく、子どもの生活への影響という観点から投資を追跡し、かつ評価できなくなっていることを依然として懸念する」とあります。
審議の中でも高校の状況をほとんど把握していない、という部局の答弁がありました。現状をしっかり調査してから提案すべきだったと考えます。
子どもの貧困を無くす活動をしている研究者からは、本来、高校生への就学援助も検討すべき状況であるとも言われています。
11/1の日経新聞報道でのあしなが育英会の調べによると、病気や自殺で父親を失った高校生のいる母子家庭の45%が教育費不足を訴えています。従来から授業料の減免を受けていたのに、民主党政権がおこなった無償化に合わせて自治体が手当を縮減した影響が出ているとのことです。自治体が独自に支援しないと格差が拡大してしまうのです。
現在の社会状況から条例を改正するのであれば、本来は、低所得の家庭の子どもたちが、より教育を受けやすくなるように選定基準を改正するなど、条例を充実していくことこそが必要と考えます。

すべての子どもたちが経済的な制約を受けることなく学校へ通い続けられるように支援することが、子どもの自立を助けることになるという考えから、本議案には反対致します。