「都政に反映しよう市民自治の力〜地域の実情に応える多様な政策論議こそ重要」

日本ジャーナリスト会議の機関誌(671号 2014.2.25)へ寄稿した文章です。

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「都政に反映しよう市民自治の力〜地域の実情に応える多様な政策論議こそ重要」

片山薫(小金井市議会議員)

今回の都知事選では、私は前回に引き続き宇都宮健児さんを応援した。市民派無所属の地方議員や市民を中心に、各地域のポスター貼りや街宣などを計画し勝手連とつながる市民選挙を目指した。

前回の選挙では、地方議員から政策に対する疑問の声もあったため、今回は地方議員間の政策議論を深めて、候補者へ伝えようと努力した。

東京都は財政的に豊かといわれるが、三多摩地域ではほとんどの市が財政危機に瀕し爪に火を灯すように予算を削り、市民の意に沿わない事業委託や縮小が続いている。

本来、都政の問題を論じるとすれば、各自治体の違いをどう捉え、どうしたら市民自治の力を活かす行政運営ができるのか、緻密な検討が必要だ。

今回の都知事選の中では、大きなくくりとしては保育や高齢者問題、防災、エネルギー、経済などが多少論じられたが、各自治体の個別状況を把握した政策が各候補から示されたとは言い難い。もっと時間をかけて公開討論で議論を深め、市民との対話を重ねるべきだった。

選挙中のマスコミ報道では、都政の諸課題を取り上げてはいたが、もっと多くの市民の声を報じ、各候補者の政策を多様な観点から論じてほしかった。

選挙前に青年会議所による公開討論が行われなかったことは大きな損失だ。選挙中のネットやテレビでの討論も少なく、表面的な議論に留まった。出演拒否する候補者がいたともいわれているが、テレビや新聞は意識的に有意義な政策論争の場を提供するべきである。

また、選挙前に大きな枠組みで応援できる統一候補の調整をすることは重要だ。告示前ぎりぎりに、市民団体からの統一を求める呼びかけに対し、宇都宮氏は話し合いに応じる返答をしたが、細川氏は応じなかった。

多くの市民が関心を寄せていた問題なので、選挙前に公開の場で政策論争をした上で、統一できるかどうか検討すべきだった。

そのような場がなかったため、多くの市民が選挙期間中も判断に迷い悩み苦しんだが、結果的に選挙に真剣に向き合うことになった。

選挙期間中の一本化要請は大きな問題である。選挙前であればギリギリまで調整の努力はするべきだが、告示後の取り下げは候補者が亡くなるなどしない限りできないし、期日前投票した有権者に対しても失礼な話だ。

大きな枠組みで統一候補を出せるかどうかは、今後の都知事選でも重要な課題である。細川、宇都宮両氏は、これから3月に開かれる、脱原発の各集会に参加し、市民との連帯の意志を示してほしい。

まずは3/1の福島原発告訴団の被害者証言集会で当事者の声に耳を傾け、東京での検察審査会に関心を寄せるべきだ。脱原発を都民の真の課題にするためには、これからの活動こそが重要である。