訪問介護基本報酬の引き下げに反対する意見書
2024年4月1日より適用される介護報酬単位が公表された。それによると訪問介護の基本報酬は身体介護、生活援助、通院乗降介助とも、すべて基本報酬が引き下げられている。
基本報酬は引き下げたものの、処遇改善加算のアップ率はすべての事業中最高なので、事業収入全体では影響がないかのように説明されているが、試算すると最上位の処遇改善加算を取得してもマイナスになってしまう。
事業所経営実態調査で訪問介護が収益率7.7%という大幅な黒字となったことが引き下げの理由とのことだが、これは増加の一途であるサービス付き高齢者向け賃貸住宅(サ高住)等の併設事業所の収益率が高いからである。サービス提供効率が高く、調査の提出率も高いと考えられる。
一方、小規模な単独事業所は調査に応じる余裕さえない。併設型訪問介護は、同一建物内に居住する利用者を回って介護するため施設介護に近く、地域の中を一軒ずつ訪ねてケアを提供する訪問介護とはかけ離れ、カテゴリー自体を分けるべきものである。
訪問介護はすでに15.3倍の有効求人倍率で、訪問介護員の高齢化も突出している。地域の在宅介護を支えてきた小規模事業所は次々と撤退。ヘルパー不足でケアプランに必要な介護を組むことができないという悲鳴が全国の現場から聞こえてくる。
人件費比率が72.2%の訪問介護で基本報酬を引き下げれば、単独型小規模事業所の経営は悪化し、閉鎖倒産が相次ぐだろう。仮に処遇改善加算で職員賃金を上げることができたとしても、物価高騰の中で経常費などをまかなうことができないからだ。実際に、2023年の訪問介護事業者の倒産件数は67件、倒産以外に事業を停止した介護事業者の休廃業・解散が510件と、いずれも過去最多を記録している。
在宅介護の命綱である地域に根差した単独型の訪問介護が減っていけば、独り暮らしや老老世帯はたちまち「介護難民」になる。「家族介護」に頼らざるを得ず「介護離職」は激増する。「可能な限り最後まで住み慣れた地域で」を謳った国が進める地域包括ケアシステムはますます有名無実になるだろう。
民間団体が行ったケアラーへの聞き取り調査では、一人で複数の家族・親族をケアする多重介護や、子育てと介護が重複するダブルケア、家族のケアを担うヤングケアラーなど、実に多様なケアラーの存在が浮き彫りになった。訪問介護を利用できない事態になれば問題はさらに複合的になり、介護離職が増加するなど社会的影響の深刻化が懸念される。
多くの人々が訪問介護の現状を危惧する中、この基本報酬引き下げは暴挙というほかない。
よって、小金井市議会は政府に対し、訪問介護基本報酬の引き下げに強く抗議し撤回を求めるものである。
以上、地方自治法第9 9条の規定により意見書を提出する。
内閣総理大臣
厚生労働大臣
