初めて作成した意見書が2本とも採択されました

「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」の早期批准と国内法の整備を求める意見書と、親のいない子どもたちへの「子ども手当」の支給等を求める意見書が採択されました。

意見書作りは初めてのことでした。どこかの組織から降りてきたものではありませんので、その時の社会状況に応じて作っていきます。

市民の意見を議会に反映させて、自治体から国に意見書を出していく、という権利を上手に使っていきたいですね。

以下意見書2本。

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親のいない子どもたちへの「子ども手当」の支給等を求める意見書

   

2010年1月18日の子ども手当に関する厚生労働省による説明会で、残念な実態が明らかになった。子ども手当の支給につき、児童手当の制度設計を踏襲しているため、親(未成年後見人を含む)がいない子どもには支給されない。実親がいても、虐待を受けた子ども、親が服役中の子どもなどには支給されない。支給対象とならない子どもは推定5,000人程度である。児童養護施設、乳児院、里親家庭で育つ子どもの養育者に支払われるのではなく、養育していなくても実親に支払われる、というものである。

2月9日の衆議院予算委員会では、長妻厚生労働大臣から、施設にいる子どもについては、安心こども基金から支給される、という答弁があった。しかし、里親家庭については支給体制が整えられず、検討課題とされている。

親がいないというハンデを負っている子どもに対し、更に差別的な扱いをすることは容認できない。

児童手当は、申請しなければ受給資格があったとしても受給することができなかったが、親のいない子どもや虐待を受けている子どもなどにも、子ども手当を受け取れる仕組みが必要である。

親が育てることができない子どもたちが差別をされず、当然の権利として子ども手当を受け取り、社会の一員として育つことができることが望まれる。

よって、小金井市議会は、国会及び政府に対し、次代の社会を担う子どもの育ちを支援するという子ども手当制度の趣旨をかんがみて、以下の措置を講じられるよう強く要請するものである。

1 親のいない子どもや親が不詳の子どもに対しても、親のいる子どもと同じく子ども手当が支給されるようにすること。

2 親のいない子どもや親が不詳の子どもには、速やかに未成年後見人を選任し、児童養護施設や乳児院、里親との連携を行う仕組みを作ること。

3 親がいて児童養護施設等に入所する子どもや里親に委託された子どもには、現に養育に当たる者と実親の状況に即して、子どものために使われるように子ども手当を支給すること。

4 未成年後見人の選任に関して、実態にあった法制度を整えること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成22年3月  日

 

小金井市議会議長 宮 崎 晴 光 

 

 衆議院議 様

 参議院議 様

 内閣総理大 様

 厚生労働大 様

 

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「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」の早期批准と国内法の整備を求める意見書

   

日本では離婚に際し、子どもの親権をどちらかに定める単独親権制度(民法第819条)をとっているため、子どもの養育の責任が一方の親にのみ帰属し、親権を失った親には、養育する権利はおろか、実の親子でありながら、お互いが自由に交流することも法的に保障されず、「引き離し」にあっているケースも少なくない。一方で共同親権に移行した国々では、緊急性のない親子の引き離しは、子どもへの虐待であるとの認識から、両親や子どもに対する教育や支援体制が充実し、我が国の現行制度との違いを際立たせているのが現状である。

2010年1月30日、米国など8か国の大使・駐日代表が、岡田外務大臣に対して、“日本人の母親による子の奪取”に強い懸念を表明し、「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」への日本の加盟を要望する共同声明を発表した。未批准の国はG7では日本だけである。

小金井市議会では、他の自治体に先駆けて、2008年6月に「離婚後の親子の面接交渉の法制化と支援を求める意見書」を国会、政府及び東京都に提出している。

しかし、いまだ離婚後の子どもの養育について定めた民法第766条には、子と別居親との面会交流の規定がなく、多くの親子が別居や離婚、事実婚解消を期に、親子の関係が断たれているという現実がある。裁判所での調停や審判を経て、面会交流の取決めがなされても、強制力がないため、決定自体が監護親によって反故にされ守られない事例も少なくないのが現状である。 

よって、小金井市議会は、国会及び政府に対し、以下の措置を講じられるよう強く要請するものである。

1 「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」を早期批准すること。

2 本質的に離婚後も親の子への権利義務は平等であるという視点から、民法第819条を改正し、双方の親の養育の権利と責任を明確にする離婚後の共同親権制度を導入すること。

3 DVや虐待等に十分に配慮しつつ、別居、離婚後も双方の親が子どもへの養育にかかわれるように、面会拒否に対する強制力の付与など実効性のある離婚後の親子関係の法制化を行うこと。 

4 別居・離婚後の親同士の関係を調整するため、第三者による仲介への支援や安全な面会場所の確保、離婚後の親子関係についての教育プログラムの提供、子の年齢に応じた面会交流のガイドラインの整備など、別居・離婚後の親子の交流を保障するための法整備を行うこと。 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成22年3月  日

 

小金井市議会議長 宮 崎 晴 光 

 

 衆議院議 様

 参議院議 様

 内閣総理大 様

 法務大 様

 外務大 様

 厚生労働大 様