「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成を求める陳情」についての反対討論

閉会中の8月の厚生文教委員会において、継続審議となっていた、子宮頸がん予防ワクチンの陳情審査があり、私と同会派(みどり・ 市民ネット)の市民の党の議員は退席しましたが、それ以外の議員(自民、公明、民主、共産)すべて賛成ということで採択されました。力不足で継続が継続できず残念です。

 

8/30、第3回定例議会の初日の本会議で、閉会中の陳情について採決がおこなわれ、いろいろ考えましたが結局反対しました。同会派の漢人議員とやはり同会派で生活者ネットの議員は反対。同会派の男性議員ひとりは退席。それ以外の19人が賛成となり採択されています。

————————————————————————

 

「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成を求める陳情」について反対の立場から討論します。

 

子宮頸がんは、性交渉の際に男性の性器などから子宮頸部に運ばれたヒトパピロマーウィルス(HPV)の感染によって発症するものと、原因がほぼ特定されたがんのひとつです。

HPVは、女性の4分の3が一生のうち一度は感染するというごくありふれたウィルスで、感染者の10%が継続感染し、さらにその5%が前がん状態になりますが、この段階で治療すれば確実に治るものです。

感染した人の多くが発症するはしかやおたふくかぜなどとは性質が違うものです。

また現在承認されているワクチンは、がん発症要因と特定された15種類中2種類にしか対応せず、感染前の接種でなければ効果がありません。

海外でも2006年に臨床試験が始まったということで、実績評価が十分とは言えず、国も、実際に子宮頸がんワクチン導入が全人口レベルで子宮頸がん患者・死亡の減少につながるかは、今後の長期に渡る調査研究が必要であるとしており、副作用や有効性についての検証も十分とはいえません。国の審議会においても有効性や副作用被害の在り方について疑問とする発言があります。

 

一方子宮頸がん検診は、細胞診に加えてHPV検査を行えば、ほぼ100%前がん状態を捕捉することができ、早期発見早期治療で完治が可能です。

 

初めて性交渉を行う平均年齢が低くなっているため、現在問題となっている、20代30代での子宮頸がんの発症増加に対応するには、ワクチン接種では対応できません。限られた財源を有効活用するためには、現在、小金井では20%ほどとなっている検診の受診率を上げるための施策が必要です。8割から9割の受診率となっている海外の検診の情報を収集して、研究する必要があると考えます。

 

また、子宮頸がんに限らず、性感染症や望まない妊娠を防ぐ意味でも、現在接種の該当年齢とされている小学生高学年から中学生への、きちんとした性教育の徹底が不可欠です。望まない性交渉は拒否する、自分の体や相手の体をよく知り思いやる、また、性交渉する際にはコンドームなどの避妊具を使用するといった基本的な知識を持つことによって、自分の体も相手の体も守る事ができます。先日の厚生文教委員会の論議の中では、「これから研究する」といった答弁がありました。

検診と性教育は、ワクチン接種の是非に関わらず実施・充実が求められていますが、現在はその体制が整えられていません。ワクチン接種を公費助成によって奨励するのであれば、さらに一層その必要性・緊急性は高まると考えます。

 

先日、開催された、予防接種について考えるワクチントーク全国集会においても、参加された小児科医や産婦人科医、研究者からは、ワクチン導入によって検診の受診率がさがるのでは、という懸念が出されていました。

この受診率低下の懸念に対しても、市としての積極的な対応が必要であると考えます。

また、予防接種被害者からは、いまだ国の救済制度が整っていない、できるだけ被害を認めない方針なので、被害があっても顕在化していない現状が語られました。ワクチン接種の公費負担を求めるのであれば、これまでの予防接種禍に学び、一定の確率で必ず起こる予防接種被害の救済制度の充実をはかるべきと考えます。

 

現時点では、ワクチン接種の有効性や副作用被害などの情報提供と、公費負担に対する議論が、国においても自治体としても、十分におこなわれていません。さらに検診受診率の向上や性教育の実施の具体的な見通しがない現状では、本陳情には反対とさせていただきます。