現行の健康保険証の廃止・マイナ保険証への一本化を強行しないよう求める意見書
政府は、現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードの保険証としての利用(いわゆるマイナ保険証)に一本化する方針で、今年12月2日以降は、現行保険証の新規発行を中止するとしている。
マイナンバーカードの保険証利用をめぐっては、昨年、医療機関で「保険資格情報が照会できない」「別の人の保険資格情報・医療情報が閲覧できる、逆に言えば、自分の情報を他人が閲覧できる状態となっている等々のトラブルが頻出し、大問題となった。政府は、自治体・保険組合等に対して紐づけミス等の総点検作業を指示。作業が完了し、ミスは訂正されたとして、予定通り、今年12月2日以降は現行保険証の新規発行はしないとしている。
仮にデータ上の紐づけミスが全て訂正されたとしても、医療機関でのカード読み取り端末や回線の不具合・不調で医療機関がトラブルを避けるため、患者に対し、マイナ保険証を持っている人であっても、念のため通常の保険証を持参するよう促しているのが現実である。また、かねてより指摘されてきた通り、カード読み取り端末が必要なマイナ保険証は、災害による停電時には役に立たず、かえって混乱を招くことが、今年1月の能登半島地震でも実証されている。
このような状況で、マイナ保険証を使用することについて、不安を抱く人がいることは当然である。政府は、インセンティブを与える一方で締め付けを強化し、いわば「アメとムチ」で懸命にマイナ保険証の利用へと誘導しているが、医療機関におけるマイナ保険証の利用率は低迷を続けており、現行保険証の新規発行を中止するという12月2日まで残り半年を切った今年7月でもわずか11%、1割ほどに過ぎない。
そもそも、マイナンバーカードは、マイナンバー法でも申請により任意で取得・保有するものとされている。「国民皆保険」が原則のわが国において、健康保険証の廃止・マイナ保険証への一本化は、実質的なマイナンバーカードの強制に他ならず、法令上も許されない。
よって小金井市議会は、政府に対し、健康保険証廃止とマイナ保険証への一本化、つまりマイナンバーカードの事実上の強制に反対し、以下の事項を求めるものである。
1.「現行の健康保険証の廃止・マイナ保険証への一本化」という方針を撤回し、現状通り、「現行保険証とマイナ保険証の併用」を続けること。
2.「保険証の廃止」という言葉がいわば「一人歩き」しており、今年12月2日以降は現行保険証が使えなくなると誤解している人が多数いる。仮に、現行保険証の新規発行をどうしても中止するという場合、混乱を避けるため、今年12月2日以降について、下記を明確に周知・広報すること。①その時点で手元にある健康保険証は、有効期限までそのまま使えること。②マイナンバーカードは持っているが保険証として利用するための設定をしていない、またはそもそもマイナンバーカードを持っていない人に対しては、当面の間は申請不要で、その後も申請すれば、資格確認書が交付されるため、マイナ保険証なしで保険診療を受けることができること。③すでにマイナ保険証を持っているが、使用に不安を感じている人は、今年10月からは保険証としての利用登録が解除できるようになること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
内閣総理大臣 厚生労働大臣 デジタル大臣 総務大臣