2023年度一般会計決算 反対討論

2023年度一般会計決算に対し、子どもの権利を守る会を代表して、不認定の立場から討論を行います。

まずは、常日頃より、住民福祉の向上に奮闘努力をされている小金井市役所職員の皆様におかれましては、心から敬意と謝意を表します。本来であれば、小金井市役所職員の皆様の奮闘努力に報いるためにも、2023年度一般会計決算については賛成をしたいところではありますが、不認定の理由を述べさせていただきます。

不認定の第一の理由は、決算年度の2月22日、白井市長が被告の「小金井市立保育園廃止処分取消等請求件」に対し東京地方裁判所が下した、「西岡前市長による保育園廃園専決処分は違法、廃園条例は無効」という判決を、白井市長は重く受けとめ、控訴しないとしました。

しかし、市長選の公約に反し廃園方針を撤回せず、西岡前市長の政策を踏襲し段階的縮小を進めながら、原告のお子さんのみを入所許可し、最終的にはたった一人だけになってしまうという、とんでもなく子どもの人権を侵害するやり方で、判決に背く違法行為を続けています。

裁判で違法とされた専決処分で制定された廃園条例は、そもそも制定されていない、と行政法学者からの法律意見書でも指摘されています。

今は一体なんの条例に基づいて公立保育園は運営されているのでしょうか。

まずは判決に従って、元の保育園条例のもとで0〜1歳の募集を再開して、保育行政を行うべきです。

市の顧問弁護士や法務担当以外の、実名や立場を明らかにした法律の専門家による法的見解なども求めず、違法な行政運営を続けていくことは、市役所全体のコンプライアンスが崩れる要因となります。また、裁判で敗訴しても、違法な条例のもとでの行政運営を続けても、誰にも咎められなければ法に背いてもいいのだ、という開き直りに近い悪しき行政事例として、小金井市の名前が歴史に刻み付けられてもいいのでしょうか。

保護者からは第二東京弁護士会に人権救済の申し立てが行われましたが、このままだと再度、白井市長を訴える裁判が起こされ、市が敗訴して子どもさんの入園を認めるという、まさに裁判をしないと保育園に入れない、ということが繰り返されかねない事態になります。

不認定の第二の理由は、市役所庁舎及び福祉会館の建築設計に関して、決算年度も含め、抜本的なコストダウンの方策が何ら講じられていない点にあります。また、市民から要望が多い「十分な面積のひろば」「福祉会館部分にも庁舎部分と同等の免震構造の採用」「議場空間の多目的な市民利用」に関しても、実現に向けた措置が何ら講じられていません。本年度に入って、市民から、現設計のまま行くか、見直し案に変更するかを選択肢とした住民投票条例が直接請求されましたが、市長は反対意見を付しました。自らは何の工夫もせず、市民の意見を聞こうともしない姿勢は、到底認められるものではありません。

不認定の第三の理由は、教育行政についてです。2022年度の決算審査で、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が、昨年4月の施行に向けて、同年度に何の準備も教育委員会を行っていなかったことを指摘いたしましたが、決算年度においても広報・啓発に留まり、法が求めるや学校の内外を問わず教育職員等による児童生徒性暴力等の根絶やデータベースの活用に向けた具体的な取り組みは報告されませんでした。性加害は発生してからでは遅く、何より防止しなければなりません。教育メタバースをはじめ、総合教育会議の開催頻度の低さ、水筒・ふりかけの持参、頭髪指導など、かねてより指摘してきました課題に十分に対応できているとは言えません。教育プラン改定の準備が進められています。子どもの権利条約・条例の理念が教育現場の隅々まで浸透し、子どもの意見表明・参加のもと、子どもの権利保障が最優先とされる政策展開を重ねて求めます。

以上、子どもの権利を守る観点から、法令を遵守した行政運営を行うことを求め、討論を終わります。