独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)の現機能の存続を求める意見書

独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)の現機能の存続を求める意見書

埼玉県嵐山町に所在する独立行政法人国立女性教育会館(以下「国立女性教育会館」という。)は、女性教育の振興、男女共同参画社会の形成の促進に資することを目的として、1977年に設置された唯一の女性教育に関するナショナルセンターである。国の施設として設置され、2001年に独立行政法人に移行している。2017年には、インフラ長寿命化計画が策定され、これまで6年間で総額約15億円を投じ、計画的に維持・管理が行われている。

もともと、国立女性教育会館は、婦人団体関係者、研究者、行政関係者からなる基本構想委員会によって企画構想された。忙しい日常を送っている女性たちが、自分のことを考え、自分を取り戻して必要な学習をし、将来を考える場所として選ばれ、研修・交流・調査研究・情報という4つの機能を持つ施設として設計され、自然環境に恵まれ、都心から1時間程度の現在地が選ばれた。国連婦人年1975年から間もなくの誕生で広大な敷地に建った国の象徴的な施設である。嵐山町に国立女性教育会館を位置付ける意味、その使命は今も変わらない。

2023年4月、内閣府の「独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループ」の報告書が取りまとめられた。国立教育女性会館は、男女共同参画基本計画の施策全般を推進する「ナショナルセンター」としてその役割を拡充するとともに、全国355の男女共同参画センターの「センターオブセンターズ」として位置付けること、また、人材育成機能強化・職員の専門性向上や関係機関等とのネットワーク構築・強化、男女共同参画に関する政策のEBPM機能の強化など、様々な機能の強化について示されている。「現在の研修棟や宿泊棟といった施設の在り方についても、今後検討していくことが必要である。」とされているが、移転の必要性については示されていない。

しかしながら、2023年11月、関係府省から嵐山町に対して、「現行施設を譲渡又は撤去し、主たる事務所を移転することとしたい」旨の意向が示された。嵐山町にも埼玉県にも丁寧な説明が行われない中、埼玉県議会の中からも容認できないとの声が上がっている。

国立女性教育会館の累計の利用は497万人。女性だけでなく、男性、子ども、障害のある人、誰でも利用でき、会議室は講堂を含め20室以上、360人が泊まれるバリアフリーの施設である。このコロナ禍で対面での交流の必要性は誰もが感じたことである。女性たちや様々な支援活動に関わる人々が、安価に宿泊でき、学習に集中できる施設は貴重である。

また、国立女性教育会館は、この間、資料収集に力を入れ、約15万冊の図書、約4,200タイトルの雑誌、新聞の切り抜き57万件以上を所蔵している。明治期以降からの資料の保存活用は、現在地だからこそできるものである。女性資料の散逸が課題となってきている今こそ、現物保存の場があることは重要である。また、国立女性教育会館が提供している各種データベースや女性デジタルアーカイブシステムの継続公開も重要で、ライブラリとアーカイブの一体保存活用の継続が必要である。サイトから公開されているすべてのデジタル情報の保全提供サイトを確保する必要がある。

 よって、小金井市議会は、国会及び政府に対し、男女共同参画社会を推進するため、国立女性教育会館を現在地において存続させ、専門性のある人を育成し、研修・交流・調査研究・情報の4つの機能をさらに強化することを強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和6年 月  日

小金井市議会議長 宮 下   誠

 衆議院議長 様

 参議院議長 様

 内閣総理大臣 様

 文部科学大臣 様

 内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 様