在沖縄米空軍兵による少女誘拐・暴行事件に抗議し、その根絶および日米地位協定の改定を求める意見書

「在沖縄米空軍兵による少女誘拐・暴行事件に抗議し、その根絶および日米地位協定の改定を求める意見書」

沖縄県嘉手納基地所属の米空軍兵が、昨年12月24日、16歳未満の少女を誘拐し性的暴行を加えたとして、今年3月27日、那覇地検により、わいせつ目的及び不同意性交等罪で起訴された。ところが、政府はこの事件について掌握しながら、沖縄県に対して通知をしておらず、司法取材に当たっていた記者の気づきによる6月25日の新聞報道を通じて初めて、沖縄県は本事件を知ることとなった。

沖縄県では米兵・軍属らによる犯罪が繰り返されてきており、1995年には、12歳の少女への暴行事件をきっかけに県を揺るがす怒りの県民大会となった。1997年、「事件・事故が地域社会に及ぼす影響を最小限とするため、在日米軍に係る事件・事故の発生の情報を、日本側及び地域社会に対して正確かつ直ちに提供することが重要であると認識する」とした文書が、日米合同委員会において合意され、「在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続」が定められた。これは日米が守るべき、あらたな通報ルールであった。

しかし、冒頭に記した事件においては、このルールが守られず、通報経路が途中で絶たれたことにより、合意文書の重要な目的である地域社会への事件発生の伝達が果たされず、東京都、神奈川県、青森県、山口県、福岡県、長崎県においても米軍関係者が、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪の疑い等で書類送検及び逮捕された事件が、地元自治体に知らされていなかったことが、今回の問題を通して明らかになった。

昨年12月の米軍辺野古新基地建設の「代執行」強行、今年4月の日米首脳会談、5月のエマニュエル米駐日大使の沖縄訪問、6月の沖縄県県議選と、重要な政治日程が相次いでおり、政治的思惑で、県民及び国民の怒りの表面化を回避しようと事件を隠蔽したのであれば重大な問題である。

政治的思惑のために国民の命と安全、女性の尊厳を犠牲にすることは絶対に許されない。米兵が暴行を繰り返すことを国が隠蔽し、事実上かばうようでは、県民が安心して暮らすことはできない。

さらに、9月5日には、6月下旬にこれまで報道されている事件に加え、別の成人女性への性的暴行事件があったことが新たに発覚した。

折しも本年10月にはジュネーブで女性差別撤廃委員会による日本報告審査が行われる。紛争下における女性の人権を保障する国連安保理決議1325号を採択し第3次行動計画を策定している日本で、在日米軍人・軍属による性犯罪が無くならないことに怒りを持って厳重に抗議する。

よって小金井市議会は、政府に対し地方自治の理念に基づき下記の事項の徹底、実現を強く求める。

1 事実関係と政府対応の全容を明らかにすること。

2 1997年の日米政府の合意文書の趣旨と合意に至った経緯を再認識し、在日米軍人・軍属に係る事件・事故の発生の情報を、通報手続に従って地元自治体に速やかに提供する体制を再構築すること。

3 外務省は、日米政府が被害者に謝罪と充分な補償を遅滞なく行うように、責任をもってあたること。

4 米軍人等を特権的に扱う日米地位協定の抜本的改定に向けて力をつくすこと。

5 米軍基地の有無にかかわらず、地方自治体に対し地方分権の推進に添って対等な関係を 築いていくために不断の努力を講じること。

以上、地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出する。

衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 内閣官房長官 外務大臣 防衛大臣 警察庁長官