6/25の小金井市議会最終日の本会議で可決された意見書の中で、ひときわショッキングなものがありました。
議員案第31号「旧姓の通称使用の更なる拡充を求める意見書」に反対の立場から討論を行います。
6/23、最高裁では、夫婦別姓を認めない民法と戸籍の規定は合憲という多数意見の判断が下されましたが、国会での法制度の検討や結論を妨げるものではない、という補足意見もありました。
また、違憲とする裁判官の意見には、夫婦同姓が明らかに女性に不利益を与え、婚姻前の姓の維持の利益が一層切実になっている、と指摘するものもありました。
まさにその通りであります。
この意見書に記載されている通称使用の拡充事例の中にある、印鑑登録に旧姓使用できたから、と言っても、登録した印鑑が旧姓なだけであり、実際の契約などの時は、戸籍名を書かせられます。
旧姓(通称)は正式なものとはされません。
パスポートへの旧姓併記が今年の4月から可能になりましたが、ビザや航空券などの取得はできません。パスポートのマイクロチップには記憶されないので、むしろ混乱が起きているようです。2019年からは住民票やマイナンバーカードへの旧姓併記もできるようになりましたが、銀行口座開設などの契約などでは戸籍名が求められます。運転免許証への旧姓併記は、まず戸籍謄本を取って、旧姓併記の住民票などの手続きをして、その住民票を取ってからでないと免許証の手続きはできません。
私自身は、婚姻後も旧姓を通称使用していますが、きっぱり事実婚とできなかったのは、当時の経済的不安を抱える暮らしの中で子どもが生まれるにあたり、職も失う中、婚姻によって生じる配偶者控除などの経済的利益がないと生活が立ちゆかなかったからです。
婚姻制度に依拠しない場合、経済的不利益を被る、という現在の状況は、人々の差別意識を喚起し、人が人らしく生きる権利としての基本的人権の損傷にも当たると考えています。
私自身は、自らのアイディンティティの保持のために、子どもが生まれてからも通称で通してきたので、保育所や学校などでも、連絡帳や必要書類には保護者名を二人とも併記し、子どもとは姓が違いますが、片山という一人の人間として周囲に認められてきました。
市議会議員選挙の際も、立候補届は戸籍名ですが、選挙の際には通称使用しています。2013年の選挙の際には、選管事務局から報道機関への連絡に問題があったので、選挙管理委員会で議論していただき、当選証書への通称併記が行われるようになりました。
よく引き合いに出される社会的地位を築いてきた女性だけの問題ではなく、私個人の問題でもなく、一般の暮らしの中でも、選択的夫婦別姓が制度として一刻も早く法規定されることにより、より多くの人たちの安定した暮らしの保持につながるのです。
この意見書には反対しますが、ぜひ現政権与党の議員の方々には、人の尊厳を守るためにも、選択的夫婦別姓制度を次回の国会では成立させるよう、党内議論で頑張っていただきたいとエールを送り、反対討論を終わります。