市民自治こがねい運営委員会より2018年度の予算提言を提出

11/8、市民自治こがねい運営委員会より、2018年度の予算提言を提出しました。

https://www.sijiko.com/予算編成への提言/

2017年11月8日

小金井市長 西岡真一郎 様

市民自治こがねい運営委員会

市議会議員  片山  薫

市議会議員 坂井えつ子

 

小金井市2018年度予算編成に対する提言

 

市議選、都議選、突然の解散による衆議院選挙と、選挙が続きましたが、投票率は下がり、社会への関心や参加の意義を感じられない市民が増え、漠然とした不安が社会に広がっています。だからこそ、自分たちの意思が、自分たちの住む自治体を変えていく、誰もが存在意義を実感できる地域にしていく努力が必要です。

福島原発事故は未だに収束せず、廃炉の道筋も見えず、避難者の支援も打ち切られる中、国による原発再稼働の動きが急速に進んでいます。基礎自治体から原発に頼らない再生可能エネルギーを積極的に生み出すことや、放射能汚染対策に息長く取組み、原発ゼロを訴えていかなければなりません。

安保法制を巡り、改憲への道が進められようとしていますが、平和憲法を守り近隣諸国との平和外交を地域から進めていくことが、いまこそ求められています。

市内でも経済的格差が広がり、保育所は入所希望者であふれ、教育格差も拡大しています。徴税のあり方を見直し、経済的弱者や生活困窮者への支援を拡充すべきです。

新庁舎、新福祉会館建設にあたり、自治体行政や住民自治のあり方、市民協働の本質が改めて問われています。行政と議会と市民が共に議論できる機会を生かし、市民参画型の市政に変わっていくことができないでしょうか。

2019年3月には、小金井市子どもの権利に関する条例が制定されて10周年を迎えます。市政施行60周年となることとも合わせ、自治基本条例、市民協働条例、公契約条例といった、住民自治に関わる基本条例の制定を検討し、子どもの権利条例を理念条例から、実質的に活用できる条例に変えていきましょう。

 

Ⅰ.人権が尊重される環境整備を

1.どの子ものびのびと育っていける子ども支援と教育環境の整備を

① 公立保育園民間移譲は見直して、保育指針を作り、小金井全体の保育の質を高め、子ども視点の保育所設置をめざすこと

② 子どもの権利条例制定10周年を機に、子ども議会の取り組み、小金井子どもの権利の日制定、子どもの権利委員会を設置し、子どもオンブズパーソンの設置を早急に検討し、推進計画を策定すること

③ 子どもの教育を受ける権利を等しく保障するため、就学援助の認定倍率を生活保護基準収入の1.8倍に戻すか、保護者負担の教育費無償化めざすこと。教材費等の保護者負担額と就学援助の捕捉率を調査すること。給付式奨学金の金額増と成績ではなく経済的困窮理由を支給要件として重視すること

④ 小中学校給食を、オーガニック化し、放射能汚染や遺伝子組み換え食品の混入を防ぐために産直で安全な食材の購入や事前の放射能測定の回数を増やすなど、今の時代に合った食育の場とし、市民参加の「みんなの給食委員会」を審議会と位置づけ審議回数を増やすこと。調理業務のこれ以上の委託はせず、調理環境の改善を急ぐこと。給食費の安易な値上げは行なわず、国や都の動向を見ながら無償化を追求すること

⑤ 学童保育所の大規模化を解消し、子どもが活き活きと過ごしやすい放課後の居場所を市民と共に検討すること

⑥ すべての子どもが地域の学校や学童に通えるよう、インクルーシブ教育の視点に立ち、児童・生徒や保護者の意志を最大限尊重すること

 

 

2.高齢者の自立支援・介護予防・介護サービスの充実を

① 「地域包括ケアシステム」に十分対応できるよう、「地域包括支援センター」の人員拡充を図ること

② お泊まりデイの利用実態、状況を把握し、市内にショートステイのための施設やベッドの増設を図ること

③ だれでも利用できるデイホーム、認知症高齢者のグループホームの開設を誘導し支援すること

④ 高齢者の孤立を予防する地域の寄り合い所的事業の展開を支援すること

⑤ 買い物難民対策として、訪問販売被害を防ぐ施策と、移動支援にも取り組み、駅前集中ではなく地域の個人商店が地域の拠点となれる商業対策を講じること

 

3.地域で学び、働き、暮らすための障がい者施策を

① 障害者総合支援法による障がい者と家族、施設への負担増を軽減するための施策を実現し、難病手当を削減しないこと

② 臨時、非常勤も含む職員採用に障がい者枠を設け、知的・精神障がい者も含めた積極的な雇用を進め個々に応じた適切な配慮(合理的配慮)の提供に努めること

③ 障がい者が地域で一般就労しやすくなるよう、就労支援センターの体制を整えること

④ 知的障がい者、精神障がい者、身体障がい者が障がいの程度にかかわらず、グループホーム等や一人暮らしなど、地域生活を送るにあたって本人が自由に選択できるように「自立生活センター」と連携し支援すること

⑤障害者差別解消条例(仮)の制定や改訂に向けて、自立支援協議会や意見交換会、パブリックコメントで出た意見を最大限取り入れること。条文ごとに説明する逐条解説を作る、差別事例を収集するなど随時、条例を補完すること

⑥ 通所施設の工賃アップや対面販売の場を確保するためにも事業所で作られた製作品販売の場を早急に整備すること

 

4.地域から貧困と格差をなくす

① 生活保護受給者数にあわせてケースワーカーを国基準以上に適正に増員すること

② 生活保護の捕捉率20%の現状を踏まえ、必要な人に対して部分受給の周知をはかること

③ 生活困窮者自立支援法に基づく相談事業の相談員の処遇改善、スキルアップをはかること。納税課などとの庁内連携体制を構築し、税滞納者への分納計画や生活再建計画等の具体的支援を行うこと。債権管理条例制定の検討を進め、国立市のような債権管理・回収方針を策定すること。野洲市くらし支えあい条例を参考に、こちらから出向く支援を進めること

④ フードバンクまたはフードドライブ事業を市内で循環するように制度を整え、生活困窮者への支援とともにフードロスを無くしていくこと。市内各所での子ども食堂の取組みを支援すること

 

5.男女平等施策を実効性のあるものに

① 審議会等委員、市管理職の女性比率アップの年次目標をかかげ、必要な対策を講じること

② 女性職員の採用・配置・登用・研修は男女平等な職場の実現に向けて充分配慮して行うこと

③ ひとり親家庭の自立支援計画を早急に策定し、担当課の連携を図り、ひとり親家庭ホームヘルプサービスをはじめとする支援サービスを広く市民に周知すること

④ DV防止計画に基づき、相談、支援体制を強化し、外国人など多様なケースへの対応も可能とすること

⑤ 防災計画に女性も参画し、女性や子育てのニーズを踏まえた災害対応や、被災地での性犯罪の防止など「災害と女性」の視点を入れること

⑥ 性的マイノリティへの理解と支援を進めるために、職員や学校等での研修を実施すること

⑦第5次行動計画の中に、実際の施策として、性的少数者の人権に対する具体的な公報・啓発活動の推進等が入らなかったが、性別や性自認、性的指向による差別の禁止など性的マイノリティへの配慮について、必要な対策を講じること。女性や子どもの貧困についても、ニーズに合ったきめ細かい支援をすること。

⑧ 男性職員の育児休暇の義務化=パパ・クォータ制を導入すること

⑨ 行動計画の進捗状況がひとめでわかる男女共同参画白書を策定すること

 

6.自治体から発する脱原発・平和力の強化を

① 非核平和都市宣言を発展させ、平和条例を制定し、小金井市の「平和の日」事業を市民参加で企画実施できるように、平和週間をはじめ平和事業を市民協働で見直し、拡充すること

② 国連の核兵器禁止条約に日本が批准するように、小金井からも発信すること

③「脱原発都市」を宣言して脱原発首長会議に参加し、核エネルギーからの脱却を図ること

④ 中東和平プロジェクトの取り組みを活かした独自の平和外交を継続、発展すること

⑤ 戦争経験者による「語り部」授業を学校で行うなど、戦争体験を子どもたちに伝えていくこと

 

 

7.外国籍市民の思いや力の活きる環境整備を

① ホームページや市の刊行物、まちの中の標識や案内板に、多言語ややさしい日本語を取り入れた市内情報の伝達に努め、外国籍市民と共に暮らせるまちづくりをすること

② 市民団体と協力しながら、定住外国人とともに、文化と歴史を理解し合い、共に学べる場を創出し、生活相談にも応じられる国際交流協会等の設立をめざすこと

③ 都の制度も利用しながら外国人相談窓口の対応できる言語、相談日、相談時間を増やし、当事者に届くよう広報すること

④ 小金井市の市長選挙、市議会議員選挙における永住外国人の参政権をめざすこと

⑤ 市職員の在日外国人の雇用を推進すること。職員募集にあたっては、外国籍でも応募できることをホームページだけでなく、市報など市の刊行物にも明記すること

⑥ 緊急時はやさしい日本語の活用を徹底し、情報提供に努めること

⑦ 2016年6月、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が施行された。差別は、ヘイトスピーチだけではなく、教育、就職、居住等社会生活全般に及ぶ問題であり、尊厳を傷つける人権侵害である。地方自治体でこそ、差別的言動の解消に向けた具体的実効性ある施策が求められる。小金井市条例の制定や、実効性を担保するよう「解消法」の見直しを国に求めること

 

Ⅱ.環境重視のまちづくりを

①  武蔵小金井駅南口第2地区への市税投入を随時見直し、駅周辺南北の開発では高層ビル建設計画を見直し、地下水等の環境を重視した個性的なまちづくりを進めること

②  都市計画道路3.4.8号線の建設は不必要であり、中止すること

③  都市計画道路3.4.1号線、3.4.11号線外の建設計画を廃止するよう、東京都に求めること。市民と都の意見交換会は公開とし、傍聴を認めさせること

④  市民主導で野川やはけの自然保護や再生が行なわれて来た歴史を全市民で共有するためシンポジウムの開催や冊子などの作成を行い、野川とはけの自然を守る条例を制定すること

⑤ 東小金井駅周辺は地域の商店街が存続できる南北一体の暮らしを重視したまちづくりをすすめること。区画整理事業はすべての地権者が納得できるよう調整に努めること

⑤  自転車利用を促進し、駅周辺に駐輪場を確保、増設すること

小金井らしいまちの景観を守り創出するために、景観条例の市民参加による検討を始めること

⑦ 空き家空き室の有効活用をすすめるため、住宅セーフティネット法施行に伴い居住支援協議会を設置し、民間住宅の借り上げによって市民住宅を増設するなど、生活困窮者やシングルマザー、若者、高齢者、障がい者、原発事故避難者などが住み良い環境を作ること

 

 

Ⅲ.地球の未来を見通した環境政策を

1.ごみ問題の早期の解決を

① 可燃ごみの処理のあり方や施設の検討は、できる限り情報公開し市民参加で進めること

② 消滅型の生ごみ処理施設を早急につくり別途収集を始めること。家庭用処理機の有効活用に向けて利用者ネットワーク化などの支援体制を整えること。事業用処理機の普及を図ること

③ 小中学校の生ごみ処理機を乾燥型から消滅型に変え、経費の削減を図ること

④ ごみ有料化に伴う環境基金の使い道はごみ減量施策に重点的に対応すること

⑤ 清掃関連施設再整備にあたっては、近隣住民の理解を得ること

 

2.地球温暖化をストップ!

① 環境配慮住宅型研修施設「(旧)雨デモ風デモハウス」をエクセルギーのモデル事業として宣伝し、小金井の観光資源として活用すること。他の公共施設や新庁舎建設、一般家庭にもその成果を広げること

② 購入可能上限額までグリーン購入を進め、グリーン入札拡充による事業者の環境配慮を促進すること

③ 地球温暖化防止行動計画・市役所版の新たな目標達成に向け、市施設の省エネ化、CO2排出量削減をすすめ、地域推進計画の率先実行と実現に取り組むこと

④ グリーン電力証書の購入を含む自然エネルギーの公共施設への導入および、さらなる節電をすすめること

⑤ 環境マネジメントシステムに外部監査を導入し、実効性を高めること

⑥ 新設のみならず既存の公共施設等においても太陽光発電システムや燃料電池などを導入し、市民と連携しながら「地産地消」のエネルギー体制を構築すること

 

3.放射能から子どもやおとなを守る

① 市民による放射能測定を安定的に継続するため、上之原会館の放射能測定器を更新すること

② 保育園・学校給食食材の放射能測定について、放射能汚染を防ぐために産直食材の購入や事前測定の回数を増やすなど、食の安全を確保すること

③ 高濃度汚染地域となっている被災地や、避難者への支援を行うこと

④ 放射能が人体に及ぼす影響や、市内の汚染状況について市民にわかりやすく伝えること

 

 

Ⅳ.情報公開と市民参加

1.  市民が納得できる公正な市政運営を

①  市民参加条例に則った市政運営をしているかどうか検証し、審議会運営、市民説明会、パブリックコメントの形骸化を防ぐこと。自治基本条例の制定に向け市民検討委員会を作ること

②  情報公開・個人情報保護制度に関する職員研修を充実し、書類管理の適正化、市役所全体での市民への積極的な情報提供と説明責任を果たすこと

③  市HPの利用しづらさを改善し、ツイッターをさらに活用するなど、情報発信に力をいれること

④  NPOの育成と運営支援のための施策を実施すること

⑤  NPOへ事業委託を行う場合、対等な協働型契約書を締結すること。あわせて市民協働条例制定に向け、急ぎ作業すること

⑥  図書館への司書等専門職採用を含め、職員体制を充実し、図書館友の会といった、市民が参加できる図書館運営をすること。図書館協議会および、市民参加の場で新図書館建設についての検討を開始すること

⑦  非常勤職員の報酬アップによる抜本的な待遇改善を含む市役所全体の労働のあり方の再構築に取り組むこと

⑧  労働条件、男女平等、障がい者雇用、環境配慮など社会的価値基準に配慮した総合評価入札制度の適用範囲を広げ、実効性のある公契約条例を早急に制定すること

⑨  投票率減の検証を行い、向上するための方策を行うこと。子ども議会の再開や模擬選挙など、主権者教育を進め、子どもたちの政治参画の場を確立すること

⑩  音声や点字による選挙公報を作成し、視覚障がい者にも適切な情報を提供すること

⑪  地域で子どもを見守る体制を構築し、防犯カメラに頼らない安全対策をとること

⑫   若い世代の声を市政に反映するため、市内大学との連携を強める、審議会委員公募の際には若年層にフィルタをかける、などの対策をとること

2.市民が主体の新庁舎と新福祉会館建設を

①  庁内再編の議論を早め、市民協働課を設置し、新庁舎建設基本計画に基づき、庁内に市民協働支援センターを配置した環境配慮型の新庁舎建設計画にすること

②  住民自治、市民自治、市民協働の要として、公民館の社会教育機能を強化し、貸し館にとどまらないよう職員体制を充実させること。公民館本館を新福祉会館建設計画に組み込み、市民参画の中心的な位置づけにすること

③ 新福祉会館建設計画素案は今一度再考し、市民要望が大きい、旧福祉会館に設置されていた施設や機能を優先して配置すること。保健センター等は、稼働率や利用状況を調査し、設置について再考すること。福祉の総合窓口はたらい回しを防ぎ、庁内連携を強めるため、庁舎内に配置すること

③  市長公約であった6施設複合化が、4施設2機能の先行整備にかわり、更にゼロベースになったことから現状に至るまでの経緯を市民に説明すること

④  新福祉会館建設まで、代替場所を設け市民の活動場所を確保すること

⑤ 男女平等推進センターについて、公共施設新設時の導入を含め、設置を検討すること

 

以上